楊貴妃の妖艶な香り【龍脳】

中国の唐時代に第6代の皇帝として、

玄宗皇帝が即位したときのことです。

当初は、善政の誉も高く社会も安定していましたが、

楊貴妃と出会ってからすべて失ってしまいました。

玄宗皇帝が溺愛した楊貴妃とは、

どんな女性だったのでしょう。

楊貴妃と【龍脳】の香り

楊貴妃は香薬を服用して、自らの体臭として

妖艶な芳香を放っていました。

楊貴妃の使った湯浴みの湯が香ったり、

汗を拭いた布が香ったとされます。

とくに、玄宗皇帝より贈られた【龍脳】は

非常に貴重とされた香料であり、

楊貴妃の美と妖艶さをさらに

際立たせる要素となりました。

【龍脳】とは

【龍脳】は別名ボルネオールとも言われ、

インドネシアやマレーシアなどの東南アジアに生息する、

フタバガキ科の龍脳樹から採取される天然の樹脂が

結晶化したものです。

清涼感のある非常に強い芳香を持ち、

古代中国では薬や香料として珍重されていました。

【龍脳】の香りがもたらす楊貴妃の魅力

楊貴妃の美しさは単なる外見だけではなく、

その立ち振る舞いや雰囲気、そして香りによっても

際立っていました。

【龍脳】が持つ清涼感や高貴な香りは、

彼女の妖艶さをさらに際立たせ、玄宗皇帝を虜にした

要因の一つだったかもしれません。

現代では、楊貴妃の身にまとった【龍脳】の香りは、

手に入れることが難しい貴重な香料となっています。

森林伐採の影響で龍脳樹の数が減少し、

さらにこの木の成長には非常に時間がかかるため、

自然に産出される【龍脳】はごく僅かとなっています。

しかし、その高貴で神秘的な香りは、

古代の伝説とともに今なお語り継がれ、

私たちの想像の中に生き続けています。